前回まで。
今回は肯定よりも否定が強力だという話について。(前に紹介したストア派の本とも共通するね)
否定による記述
- 重要であるが言葉として表されていないことは存在する
- 対象は何でないかを記述することで消去法で表す
- 干渉主義者は何かをすることを重視し、しないことに目を向けない
- しかし重要なのは否定的な方法である
- 何を避けるべきかを学ぶのが人生である
- 反証の強力性
- 反証は証明よりも厳密である
何をするかよりも何をしないかをわかっている方が賢い。
未来を予測する
- 脆さと反脆さの概念に従うなら、未来を予測するには新しい何かが生まれるではなく、これからの時代になくなるものを考える
- 脆いものはいずれ崩壊する
- 一番脆いのは予測を前提に作られたもの
- 本質的に予測不可能な世界を予測しようとすれば間違いが必ず起きる
リンディ効果
- 対象が壊れるものと壊れないものに分類出来ると仮定したとき
- 壊れるものは時間の経過によって平均余命が短くなる、壊れないものは時間の経過によって平均余命が長くなることもある
- 技術は長生きすればするほどさらに長生きになる
- 人間は時間がたつほど平均余命は少なくなる
- 古いものはその時間経過へ耐えてきたということから、その後も生き残り続けられると予想できる
- 新しいものは生き残る確率が低い
- 未来を知るためには過去を知る必要がある
- 古典を読むことをお勧めしている
単純で便利なヒューリスティックですね。
本や論文の年齢
- リンディ効果を指針にした本の選び方
- 古くからずっと発行され続けているほど読む価値がある
- 科学論文も同様に最新のものが後になっても残る確率は非常にまれ
- 初級テキストつまり教科書に書かれているような内容はこれからも残り続ける可能性が高い
- 50年以上前のことが書いてあるものを読め
- アダムスミス、カールマルクス、ハイエクなどの原書
何を証拠とすべきか
- 証拠がないことが証拠になることはない
- 数十年前は喫煙が体にいいと考えられていた
- 有害という証拠がまだなかった=害はない
- 人が作ったものよりも自然が作ったものの方が安心
- 耐えてきた年月が全く異なる
- つまり、人工のものには証拠が必要だが、自然のものにはあれば良いけどなくても信用しても良い
- 自然がすることは正しくないと証明されるまでは正しい、人間や科学のすることは不備がないと証明されるまでは不備がある
- 無罪と証明されるまでは有罪と有罪と証明されるまでは無罪とどちらで考えるか
現象学は理論より強力
- メカニズム、いわゆる理論などわからなくても経験は嘘をつかない
- 理論は表れては消えるが、経験は残っていく
- 現象を説明する理論は絶えず変化している
- 筋肉を鍛えればたくさん食べても太らない
- 筋肉でカロリーが燃焼される説、インスリン感受性が高まり脂肪が蓄えられにくくなる説など新しい理論がどんどん出てくる
- が現象は変わらない
- どれだけ最もらしい理論だろうと、それが本当に正しいかはわからない
- そして理論など知らなくても実践には問題ない
どうしても新しいものに目が向きがちですが、これまで生き残ってきている古いものにこそ、これからも使えるような知恵が宿っているのだと。
古典読もう。
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