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よく悪用されるような論理の間違いについてみていきましょう。
妥当な論証と健全な論証
- 妥当な論証
- 前提に推論規則を正しく適用する
- 前提に基づいた結論も真かについては何も語らない
- 健全な論証
- 推論規則を真である前提に正しく適用するので結論も真になる
- ヒラリー・クリントンが2016年の大統領選に勝てば、2017年にはティム・ケインが副大統領になる。ヒラリーは勝利する。故にティムが副大統領になる。
- 実際には負けているので妥当ではあるが健全ではない
- PならばQから見ると真ではある
論理の飛躍や誤謬に気づく方法
- 合理的論証
- 誰もが真と認める共通の前提条件と、ある命題が別の命題から導かれることに誰もが同意する条件文を提示した上で、妥当な推論規則を使って、前提の論理的含意を導き出す
- 大抵は前提をうやむやにしたりで省略三段論法になりがち
- ちゃんと論証を分解して、前提と条件文へと解読すれば誤謬や前提の欠如に気付ける
- これを形式的再構成と呼ぶ
- 哲学の授業などで行われる
非形式的誤謬
- 議論に勝ちたいという人間の心理が誤りを起こす
- わら人形論法
- 相手の主張を不当に言い換えて攻撃する
- つまりあなたが言いたいのは論法
- わら人形の派生
- 手前勝手な議論
- 自分の命題を防御しやすいものにすり替える
- ゴールポストを動かす
- 論点や条件をこっそり動かす
- 真のスコットランド人論法
- 日本人は納豆を食べられる。下斗米は納豆を食べられないぞ。それは下斗米が真の日本人ではないから。
- 論点先取
- 証明しようとする命題を前提として使う
- 責任のテニス
- 立証責任をお互いで擦り付け合う
- お前だって論法
- 権威に訴える論証
- みんなに訴える論証
- みんな言ってるよ
- 人格攻撃論法
- おまえのような奴の意見は聞かない!
- 発生論の誤謬
- 感情への訴え
- 感情の誤謬
それっぽい議論で論理がおざなりになるともうカオスですね。
次回はさらに論理の欠点についてみていきましょう。
参考:人はどこまで合理的か 上
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