前回まで。
前回は生物がなぜギャンブルが好きなのか、欠乏ループの進化的背景を見てきました。
今回は依存症についてみていきましょう。
依存症に明確な定義はまだない
- 科学的にも依存症という定義はまだない
- 様々な定義の中で共通している部分はある
- ネガティブな結果が起きるとわかっていても慢性的に報酬を求めてしまう
- そもそも依存につながるような成分は植物の防御メカニズムとして進化してきた
- 昆虫が植物を食べる
- 成分が昆虫に作用し、おかしな行動をとる
- 昆虫の捕食者に見つかる
- さらに昆虫を引き寄せるように中毒性の高い成分が進化してきた
- 薬物使用によって脳が変化して依存につながるという証拠はまだない
- 確かに変化はするが他の何をしても脳は変化をし続けている
- 薬物によって脳が薬物無しではいられなくなるわけではない
- 実際、薬物の依存に悩んだ人の80%は10年後にはやめることができている
- 環境や認知の変化によって薬物に癒しを求めなくなったことが大きいのかも
- 状況や環境に依存しているのが大きいように思う
- アルコール依存症の患者を1年追跡した研究
- 依存症の再発の最大の原因は依存症が病気であり治療ができないものと患者自身が思ってしまっていること
- 治らないのではという疑念が再発に向かってしまう
- 依存症は治らないという思い込みが悪影響をおよぼす
- 自己成就予言
世間のイメージよりも薬物から回復する人は多い。
依存に繋がっている行動は、長期的にはネガティブな結果をもたらすのだが、現在の問題解決につながっているからこそ持続される。
薬物は入手の過程からギャンブル性がある
- 違法薬物は入手の時点で不確定要素が大きい
- 捕まるかも、品質が低いかも、トラブルが起きるかもなどなど
- この体験自体が中毒に繋がっている
- この不確定要素がさらに薬物の効果を底上げしている
- 医療用に投与される薬物の中毒率はとても低い(1%未満)
- 薬の強さも一定、病院に行けば絶対に処方される
- 不確定要素がほぼない
- 禁断の果実効果
- 禁止されているものほど魅力を感じる
- マリファナが合法な場所の方が違法な場所よりも使用が少ない
- 禁酒があった時代の方がアルコール依存症が300%多かった
- 違法なものは犯罪組織のビジネスに役立つ側面もあるのでしょう
薬物自体ではなく入手の過程も含めたギャンブル性が中毒に繋がっているのだと。
面白いポイントです。
薬物使用の背景
- 薬物の使用は若者が一番多い
- 飲酒開始が21歳の人がアルコール依存になる確率は9%、14歳の人は50%
- アルコール以外の不適応な行動や薬物にも当てはまる
- ヘロインのような強力な薬物でも使用して依存症になるのは15%程度
- マリファナは10%未満、アルコールは10~20%、タバコは30%
- 人生の後半になって依存症になる人はネガティブなイベントがキーになっていることが多い
- 失業、身近な人の死など
- 薬物やアルコールは苦痛を和らげてくれる(一時的に)
- 薬物が問題なのではなく、これまでのその人の苦痛やその対処方法の積み重ねが依存に繋がっている
- 肥満と同じで最初から病的に太る人はいなく、日々の食事の選択の積み重ねによるものである
- スマホ中毒、ギャンブル、ショッピング中毒などあらゆる行動に同じことが言える
依存を生むのは物質そのものではなく、その人の背景や入手のしやすさや過去の経験が原因になる。
問題は、薬物や行動自体ではありません。なぜその薬物が必要か、なぜ魅力を感じるのか、なぜ逃げ出そうとしてるのかということです。
依存症を抜け出す
- 依存症から回復できる人たちは多い
- それらの多くは新しい趣味やコミュニティを見つけることで回復している
- 幼少期のトラウマが原因ならそのトラウマを心理療法で克服することで回復する
- 何かしら大きな変化を起こすことが契機になる
- 大きな変化を起こすと短期的には不快が生じるが長期的には満足感を得られる
- 新しい人間関係、新しい学習環境を乗り越えた先の達成感は薬物では再現できない
- これによって薬物を使用せずとも満足できるようになる
- イラクは経済が不安定で政府が飲酒を禁じていることもあり、安価なカプタゴンが急速に広まっていった
- 薬物乱用のあるあるのケース
- 大半の人が失業し薬物使用に流れる
- パンデミックの際も薬物使用は増加した
- オンライン処方が始まったのもある
- オーバードーズによる死亡率もかなり上がった
誰しもが何かに依存していると思います。
僕もこのブログで散々書いてきました。
その物質、行動だけに着目しても改善されない。
それらが必要とされる背景を含めてみないと解決にまで至らない。
依存症の話は自分の問題意識にも通じていて非常に面白かった。
次回は数値化、ゲーム化の弊害についてみていきましょう。
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