前回まで。
前回は人間が感じる時間とは主観であり、コントロールが可能であるという話をしてきました。
では具体的にどう時間術と関係してくるのかをみていきましょう。
予期と想起から時間術を捉え直す
- カレンダーのスケジュール
- 予期の現実感が薄い人がカレンダーによる恩恵を受ける
- 未来を自分ごとではなく他人事のように思えてしまう人
- カレンダーにスケジュールすることで未来の自分を思い描くことができ作業に取り組める
- ToDoリスト
- 予期が多すぎる人は未来への可能性が頭を占めちゃうので書き出すことで解放され恩恵を受ける
- 想起が否定的な人は過去のネガティブに蝕まれてしまうので、書き出すことでいったん考えるのをやめることで恩恵を受ける
- タイムログ
- 想起の誤りが大きい人は、見積もりが苦手なのでタイムログをとると見積もりが上手くなり恩恵を受ける
- 想起が肯定的すぎる人は、ポジティブに捉えすぎて見積もりが甘くなりがちなので、タイムログをとると現実的な見積もりができるようになり恩恵を受ける
- イフゼンプランニング
- 複数の目標にイフゼンプランニングを行うと効果が下がるのが確認されている
- 複数のプランニングがあるとハードルが上がってやる気が落ちる
- 予期が多すぎる人は、やるべきことが頭にいくつもあり、このせいでイフゼンの効果が落ちやすい
- 想起が否定的すぎる人もネガティブに押しつぶされイフゼンが効果出にくい
予期と想起の違いが時間術の効果の個人差につながっているのだと。
このシンプルな2つの観点で整理できる訳ですねぇ。
実に面白い。
時間感覚のずれで起きること
予期のずれ
- 未来の自分をうまく想像できなければ、将来のための行動をそもそも行おうとも思えない
- 実際にデータでも予期の現実感が薄い人ほど
- 資産額が少ない
- 生産性も低い
- 予期が薄いと、将来に実感がないので長期的な計画ほど時間の見積もりが歪みがちになる
- 予期が濃すぎると、将来のための行動以外を無意味に感じてしまい、今の楽しみを犠牲にしがちになる
- 予期が多すぎると、やるべきことが分かりづらくなり結局無駄なことをしがちになる
- 予期が少ないと、そもそもやることがなく無気力になりがち
想起のずれ
- 過去を思い出せなくなった健忘症の人は未来を思い描けなくなる
- 過去は未来を見積もるための材料となる
- 想起がずれている人ほど時間の流れを誤認しうまく使えなくなる
- 想起の誤りが多いと、時間の見積もりが正確でないのでうまく時間を使えない
- 想起がポジティブすぎると過信に陥るし、ネガティブすぎると作業に取り掛かるハードルが上がってしまう
ここまでの流れをまとめる
- 時間術はそもそも時間を管理していない。
- 価値観や注意など時間に関係しない要素が生産性に影響を与えている。
- この要素が効くかどうかには個人差があり、個人差を説明するための理論は膨大にあるが、これらを一つづつ検証するのは現実的ではない。
- 個人によって最適な時間術を見つけるためにシンプルなフレームワークをそもそもの時間というものから考え出した。
- それが予期と想起である。
- この二つの軸から時間術を捉えると、個人によって最適な時間術を見つけることができる。
①で紹介した時間感覚タイプテストの意味がこれでわかりますね。
本の中ではそれぞれのタイプにあう時間術がたくさん提案されているので、気になる方は是非読んで試してみるといいかも。
次回は、時間が足りないという感覚、焦りへの根本的な対策についてのお話。
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