人間は「不足」の時代に最適化されている、豊かすぎる現代で私たちが物足りなさを感じる理由【満足できない脳②】

前回まで。


前回は本の概要の紹介と欠乏ループについて書いていきました。

今回は欠乏ループが進化してきた過程や日常に組み込まれた欠乏ループなどについてみていきましょう。


総じて面白いのは、進化してきた環境では役立っていた本能が今では邪魔になってしまっているということ。このミスマッチを意識するだけでも一歩引いて自分の行動を見ることができて、本能に導かれ不幸な未来につながってしまうのを防ぐことができる。


人に組み込まれた強烈な本能

生物はみなギャンブルが好き

  • 様々な実験で人に限らず動物はギャンブル性のあるものに惹かれることが分かっている
    • 50%で15ユニットのえさをもらえるゲームと20%で20ユニットのえさをもらえるゲームでは後者を選ぶ確率が高い
    • 前者の方が続けていけば多くのえさを得られるのにもかかわらず
    • 鳩を対象にした実験では96.6%がギャンブル性の高いゲームを選択した
  • 最適でないのにもかかわらず予想外に大きな報酬が得られると生物はとても興奮して引き付けられる

安定よりも上振れを狙うという習性はが動物にあるのは興味深い。

ギャンブルを好む進化的背景

  • 食べ物を手に入れるという行為はギャンブルの要素が大きかった
    • 必ず手に入るとは限らない
    • どれくらい何が手に入るかも不明
    • 長時間歩いて探すのが普通
    • より可能性を求めて探索を続ける個体が生き残ってきた
  • これは食べ物に限らず他のことにも当てはまる
    • 所有物の獲得、社会的地位の獲得などなど
  • 人は誰しもが価値あるものをリスクをかえりみず追い求める本能を宿している
  • この本能の裏にはドーパミンが働いている
  • 人間は不確実なものに命を燃やすようにできている



日常に利用される欠乏ループ

  • SNS
    • SNSへの投稿は社会的認知を高める機会を与えている
    • 通知やタイムラインには不確実性が含まれている
      • いいね、コメントなどなど
    • フィードやスクロールによってほぼ無限に情報へのアクセスが可能
  • 動画
    • Netflixは自動再生機能によって視聴時間が大幅に伸びた
      • 開発した機能の中で一番効果が大きかった
    • Youtubeのアルゴリズムはより過激で注意を惹く様な動画をレコメンドしやすくなっている
    • これらのサービスはより長時間、視聴者をくぎ付けにするために日々進化している
  • 今ではデジタルメディアに1日で11~13時間もの時間が費やされている
  • 人間にネガティブな影響を与える行動の中心には欠乏ループが存在している

こう見るとテクノロジーの奴隷と化していますね。

テクノロジーは規制されるべきなのか?

  • 負の側面もあれば明るい側面もある
  • SNSの広まりによりLGBTQの自殺率が低下している
    • 社会的マイノリティのコミュニティがオンラインで作れるようになったおかげではないか
  • 欠乏ループに適度にはまるのは楽しいことである
    • どれくらいが適度なのか?
  • ドラマなど作品の中に盛り込まれる広告
    • 自社製品をドラマの中で使用してもらう
    • 製品の広告ありきのドラマ
    • 広告の在り方も変わってきている

人間は足すことを重視する

  • 引き算的な思考が人は苦手
  • レゴの建造物の改善、エッセイ、レシピ、観光の旅程の改善などをさせる実験で「削除」が最も最適な答えにもかかわらずそれを選択できる人は少ない
    • 削除の選択肢を提示したとしてもこの傾向は変わらない
      • 要素のプラスにコストを加算しても変わらない
        • フェイクマネーの請求など
    • より非効率でよりコストのかかる選択をしてしまう
  • 減らすことが良い結果になるのが分かっていても減らすことは悪いことというバイアスが人間の中にはある
  • 足すことがよしとされる傾向は随所に見て取れる
    • アメリカの住宅は1970年代に比べて3倍の大きさになっている
    • 衣類の数は1930年にくらべて2.3倍増えている
    • 車や家電は大きくなり機能もかなり増えている

このバイアスは結構影響が大きそうです。
仕事してても何かをつくる、業務を増やして対応するというのはよくあるけど、実際はやらなくてよかったり既存のアイデアを使いまわせたりする。

進化上の不一致

  • 自然選択説:より多くの子孫を残す、より生き残れる特性は時間とともに広がる
    • 科学理論の中で最も精査されている
    • 人間は不足の時代に進化してきており、その時代ではより多くを求めることが理にかなっていた
  • 進化上の不一致:特定の環境で役立った特性が、違う環境では害をなすこと
  • より多くなった現代でより多くを求める本能は害の方が大きい
    • 高カロリーの食べ物、大量のもの、情報、社会的地位
    • 薬物、アルコール、SNS、オンラインショッピング
    • 企業はさらに多く利用者をつなぎとめようと努力している
      • より多くの利益のために
  • どれだけ豊かで快適な生活を送っている人でも何かしらの欠乏を感じる
    • 牛乳やペンのインクが品切れになるというだけでももっと多く手に入れるようなマインドになってしまう
  • 安全、快適とは退屈である
    • 生活が安定している現代では、より生活には無縁な娯楽にリソースが注がれる




人間とは面白い。

次回は、薬物依存の話とイラクでの取材の話などを見ていきましょう。

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