前回まで。
前回は欠乏のメリット、デメリットを見ていきました。
今回は更に欠乏のメカニズムを掘り下げていきましょう!
欠乏とトレードオフ思考
- 目の前の買い物に1000円使うなら他に使った方が良いか?
- 目の前の価値とお金の価値を吟味している
- 欠乏状態にあるとトレードオフ思考がなされる
- ダイエット中であれば、今目の前の食べ物のカロリーを食べるか、他で同じくらいのカロリーのものを食べるか
- 余裕がある時はトレードオフなど考えず決断する
- 調査では貧困層ほどこれを手に入れるために何を諦めるのかというトレードオフ思考が見られる
- 自分にとって負担が大きい選択ほどトレードオフ思考は見られる
- 車を買うか?
- この長期プロジェクトをやるか?
貧困にあえぐ人の方がいわゆる経済合理性がある決断ができるそうです。
お金に困っているからこそバイアスに飲まれずに意思決定ができると。
スラック
- スラック:余裕を表す概念
- 時間がたくさんあると感じている時ほど、厳密に時間の使い方は考えない
- スラックがあると考えることがすくなくなる
- ある程度の無駄や失敗を許容できる
- 人の豊かさは気にしないでいられるものの数に比例する
余裕がないと失敗が許容できないし、ありすぎると無駄にしてしまう。
ジレンマですなぁ。
貧乏な人ほど金銭的に合理的
- 行動経済学では人の不合理性が度々明らかにされている
- 同じ量のお金の節約だが元の値段によって節約するかが変わる
- 1000どるの内の50ドルと100ドルの内の50ドルでは判断が異なる
- しかし、貧困者ほどこの判断が合理的になる
- お金の欠乏によって、より合理的な思考が働く
- 時間に限りがあると感じれば、今やろうとしていることのほかにやるべきことがあるのではないか考える
- 無限にあると思っていれば特に考えず、成り行きに任せる
- 欠乏状態の人はある種の局所的な専門知識を得る
- 故に特定の状況ではバイアスに飲まれず合理的判断を下せる
トンネリングと借金
- 低所得者の方が借金をしがち
- 長期的には不利益にもかかわらず
- トンネリングにより今のお金しか見えなくなっている
- 金融に関する知識や長期的な視点がないわけではない
- 欠乏によって深く考える能力が奪われた結果起きている
- トンネリングは個人の特性ではない
- 貧しい人が借金をするのは貧しいから
- 更なる貧困につながるにもかかわらず
- 時間の貧しさ、つまり忙しい人も同様
- 本当にやらなければいけないことよりも、緊急なことに手を付け後でより難しくなって帰ってくる
- 欠乏は計画力を大幅に低下させる
- スラックがあると未来のことを考える余裕が生まれる
金融の知識がないがゆえに借金地獄になるのではなく、トンネリングによって視野が狭くなり今の火消し作業に注目してしまう。
つまり、どんなひとでも陥る可能性があるということですね。
欠乏は目先のことしか見ない行動を生む。人は忙しいとき、外食が(将来)健康にもたらす代償を無視する。お金に余裕がないとき、給料日ローンを(将来)返済することの意味について考えない。締め切りに追われているとき、オフィスをきれいにしておくことの(将来の)メリットを考えない。
欠乏の問題は人を今日に縛りつける。明日も(時間またはお金が)乏しいかもしれないが、それは別の問題であり、別の日まで放っておく。人の心を占拠する欠乏はいまのことであり、それがトンネリング税を生み、人を近視眼的な行動に導く。
次回もまた欠乏が何を引き起こすのか見ていきましょう!
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