チェス、太極拳推手のどちらでも世界トップまで至った男の物事を学習し極めることの方法論が書かれた本。
習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法
技能を倦まず開墾し続け、競技者としては千人に一人、あるいはそれ以上の領域を目指す、「超」能動的な学習術である。
世界一になるまでひたすら打ち込んできた人の思考がどうなっているのかを見るのは非常に興味深い。
最後の章では太極拳推手の試合の描写があって、まさに手に汗を握るって感じで読み物としても面白い。
読んでいて思ったのは学びとは実践あるのみ。
面白かったポイントをまとめていこう!
成長のために不可欠な学習方法
- 数を忘れるための数、型を忘れるための型
- 何を学習する時にも応用が可能
- 最初は基礎を意識して学ぶ必要があるが、いつからか意識せずとも無意識に基礎が身につく状態
- 理論は道筋であり、それが本能に染み付いてこそ意味をなす
実践していく中でこうしたら成功しやすい、失敗しやすいというのが感覚としてしみついて、それが言語化されて理論となる。
いつだって実践が先にあるべきなのだと思いまする。
いつだって実践が先にあるべきなのだと思いまする。
チェスマスターの指導法
- ジョッシュの子供時代の師匠は世界チェス選手権で解説を務めたブルース
- ブルースのレッスン方法
- 初回はチェスに関する話はほぼせず雑談
- 親睦を深めないと素直に学ぶ姿勢が作られない
- ミスに対しては即時にフィードバック
- 正解を教えるのではなく、自分の考えを述べさせてから別の道筋もないか自分で考えさせる
- 講釈ではなく討論を行う
- その決断に至った思考プロセスを言語化させ質問でメタ的な思考をさせる
- 同じ目的を果たせる他の道筋は?
- 相手の狙いに気づいた?
- 別の戦法について精査した?
- 両親とブルースはジョッシュがチェス・トーナメントに出場するのを遅らせた
- 競技としてではなくもっと純粋にチェスの楽しさを見出してもらうため
- 競技ではチェスを楽しむよりも勝負に勝つことが求められる
プログラムも師匠にコードレビューしてもらうのが一番学びになりますね。
何が良くて何が悪いのかを示してくれるコーチがいると上達は早い。
どんな状況でも集中力を保つための訓練
- チェスの試合は長ければ数時間続く
- この間に子供が集中力を保つのは至難の業
- お気に入りの音楽がずっと頭に流れて試合に集中できないことも多々ある
- その問題に立ち向かうために生み出した訓練方法が、音楽を流しながらチェスを勉強すること
- こうすることで雑音があっても思考を止めないように訓練
- レベルが高くなるほど妨害は有効になり狡猾になっていく
- 妨害を否定し無くそうとするのではなく、妨害される前提で訓練を行う
- トップパフォーマーになるには、心の平静を持続する力が求められる
環境のせいにして何もしないのではなく、邪魔があるならそれでもパフォーマンスを出せるように訓練しようという発想が、結果に責任を持つ競技者って感じでいいよね。
決して思考や努力をやめない姿勢は見習いたい。
ミスが次のミスにつながる
- どの競技でもミスはつきものであるが、ミスしたときにそれを引きずるかどうかは一流かそうでないかを分ける
- ミスした後にいかに今に集中できるか
- 深呼吸をする
- 顔を水で洗う
- 激しい運動をする
負の投資
- 自分より強い人に挑み負け続けることが上達には必要
- 敗北から得られることの方が多い
- 失敗して修正するプロセスを繰り返すことで学ぶことができる
- 同じミスを繰り返すことで課題が見えてくる
- すでにある知識や思い込みにとらわれると課題が見えなかったり、全く改善しない場合もある
- 自分の課題を明確にし一つずつ対処することを繰り返す
この辛い作業が必要なんですよねぇ。
コードレビューも緊張するからな。
より小さな円を描くメソッド
- より実践的な技を身につけるには、大振りではダメで隙が最小になるように訓練する必要がある
- 回転回し蹴りなど見栄えはいいがまず当たらない
- 同じ技でもいかに最小の労力で同じ技を繰り出せるかで、その人の熟達具合がわかる
- 大を小に変換するプロセス
- テクニックのエッセンスの真髄を保ちつつ必要なことを最小限に抑える
- ”激しい競争の中で生き残れるものというのは、自身の持っている技術を相手よりわずかでも深く磨いたものだ。…どんな分野でも深さは広さに勝る。”
- 教義という文脈では、あらゆる華麗な技よりも基礎的な技術の熟練度が勝負を決める
- バスケならシュートがちゃんと入ってこそ、ドリブルなどに意味が生まれる
- フォートナイトでもエイムが安定していなければ、どれだけ建築ができても勝てない
呪術廻戦でも呪術を極めることは引き算を極めることって書いてるしね。
チャンキング
- 物事の熟達の流れ
- 基礎を固める→自分の性質や素質に合わせてレパートリーを広げる
- 広げるにしても基本原理に沿っていないといけない
- チャンキング:大量の情報が圧縮され取り出されやすくなる
- 熟達したチェスプレイヤーは盤上を一目見るだけで状況を理解する
- 一つ一つコマの並びを見て意識して分析するわけではない
- 駒の並びのパターンがしみついていることですぐに理解ができる
- 熟達するほど少ない情報で状況を理解できるようになる
- その空いた分のリソースで思考が可能になる
- 無意識で理解できることが多くなる
このパターンを学習するためには途方もない訓練時間が必要なんでしょうね。
競技の中でトップに行く人たちは本当に粘り強いし、どんな状況からも学び取ったり逆境を利用したりできる強さがある。
学習の真髄に触れた気分です。

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