前回まで。
偶然を実力と勘違いしてしまうのはなぜかを見ていきましょう。
偶然の果たす役割
- 歯医者やピアニストなど偶然の要素が小さいものは過去のデータを信頼できる
- 偶然、医学部に合格したり長く失敗せずに施術を続けられるオッズは相当低い
- 本当は下手なのに運よくピアノをうまく弾き続けられるわけはない
- その点、トレーダーは運の要素も大きい
- たまたま何度か勝ち続けて儲けられる可能性はある
- 能力がない(長期で見れば必ず失敗する)人でもある程度短期間なら勝ち続ける可能性はある
- サンプルの大きさによって最大値の期待値は決まる
- つまり運だけで勝ち負けが決まるところでは、サンプルが大きいほど勝つ人が出てくる
- 10000人の内5年後に利益を上げているのが100人出る可能性はある
- 100人なら一人も生き残っていないかも
- 試行回数を増やすほど幸運が重なる可能性は高まる(平均回帰)
- 逆に出てこないほうが不自然
ある人が過去に利益を出したという情報は、それ自体では意味もないし関係もない。知る必要があるのは、当初その人が属していた母集団がどれだけの大きさだったかということだ。(生存バイアス)
生き残りの逆
- 能力が高い人にも同じ理屈はあてはまる
- つまり、たまたま成績が悪かっただけなのに首になってしまうようなパターン
- 長期的には高いパフォーマンスが期待できるのに、最初の数回がたまたま運悪く失敗してしまう
データマイニングの問題
- 何らかの仮説を検証するためにデータを取り調べた結果は正しい確率が高い
- データを見て何でもいいから関係を探そうとすると危うい
- たまたまの相関を因果と勘違いしてしまう
- 陰謀論はこの類の間違いを犯している
- データ・スヌーピング
- ルールをデータに適合させようとすること
- トレーディングのバックテスト
今回はここまで。
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