2023年にEconomic Psychologyに掲載されたメタ分析(1)。
個人の収入とビッグファイブの性格特性との関連について、実証研究のメタ分析的レビューを初めて提供します
ということで、現時点では性格と収入の関連を示す最新のデータではないかと。(2001年から2020年までに発表された62本の査読付き論文の結果を統合したデータ)
前に紹介した本の中でもビッグ5の誠実性は健康や人間関係、社会的成功につながっているのだと申しておりましたね。
主な結果
- 開放性(Openness)、誠実性(Conscientiousness)、外向性(Extraversion)において収入との関連は正であり、統計的に有意である。
- 協調性(Agreeableness)、神経症傾向(Neuroticism)において収入との関連は負であり、統計的に有意である。
誠実性(0.0248 非常に有意)> 外向性(0.0209 非常に有意)> 開放性(0.0175 有意)
やはり誠実性か。
収入への負の影響の大きさは協調性も神経症的傾向も同じくらいですね。
教育の影響を統制した上でも結果は有意
開放性と誠実性は学歴を考慮すると影響度は小さくなるようですが、それでも有意な影響は与えているようです。(つまり性格ではなく学歴も結構影響している)
開放性または誠実性があるから収入が上がるというのもあるが、これらの特性のおかげで学歴が高くなりそのおかげで収入が上がるという経路もあると。
特に開放性の方が教育の影響が大きそう。
開放性と教育(-0.0432 有意)> 誠実性と教育(-0.0233 有意)
さらに神経症的傾向の負の影響は仕事の経験を考慮すると少なくなるようです。
おそらく、職種や仕事を通じた経験によって神経症的傾向が悪い方向にもいい方向にも働くのでは。(ストレスが少なければそれほど神経症的傾向の影響はないのでは)
国による影響
英語圏(オーストラリア、イギリス、アメリカ)と他の国々だと性格と収入の影響が変わるらしいです。オモシロ。
有意な結果をみると特に誠実性(0.0239 かなり有意)と外向性(0.0194 かなり有意)がさらに収入に正の影響を与えている。協調性(-0.0262 有意)はさらに負の影響が強まる。
自己主張やハードワークが推奨されている影響が強いのかしら。競争的な労働市場であるほど誠実性や外向性が重要になると論文では書いております。
また、協調性が高いことは、イギリスの労働市場では日本に比べて不利に働く可能性が高い。
日本だと強調性が大事ですね。
まとめると
なんとなく学べたこととしては
- 開放性、誠実性、外向性が高いことは収入の上昇につながる
- 特に誠実性
- しかし、学歴も結構大事
- 学歴がすべてではない
- 協調性と神経症的傾向が高いと収入は上昇しづらい
- 神経症的傾向が高い人は職場選びや経験に良くも悪くも影響される
- より競争が激しいようなところほど外向性と誠実性が重要視される
- 逆に日本とかだと協調性が大事かも
なかなか興味深い論文でした。
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