タレブの書いた論文で仮想通貨に関するものがあったので読んでみました。
Bitcoin, Currencies, and Fragility
仮想通貨の中でも特にビットコインに焦点を当てています。
具体的な内容としては以下のような感じ。
- ビットコインはそもそも通貨とも言えない
- 価値が0を上回ることはない
- インフレヘッジとしても機能しない
なかなか辛辣な内容ですね。
早速見ていきましょう!
ビットコインの価値は0である
そもそもビットコインには明確な収益が存在しないのだと。
いわゆる利回りですね。
例えば株式であれば配当、債券であれば利子など資産を保有しているだけで生まれる現金収入があります。
ビットコインは単なるブロックチェーンの記録上の数字にすぎません。
株であれば企業の利益が背景にありますし、債券で言えばその発行元が利息を払う義務を持っています。
ビットコインはだれも所有者に対して報酬を払うような仕組みはない。
マイナーと呼ばれるマイニングをした労力に対する報酬だけが存在します。(保有ではなく労力に対して支払われるもの)
そして以下のようなことが起きれば価値は0になってしまう。
- マイナーがいなくなる
- 技術が時代遅れになる
- ビットコインから離れる人が増える
反復期待の法則(law of iterated expectations)から将来価値が0になるならその価値は今既に0であると言えるのだと。
物理的な実体を持たない台帳上の記録が、関心を持ち報酬を求めて行動する人々によって継続的に維持される必要があるという条件のもとでしか、価値を保ち続けることができないのです。
逆にいえば人々が関心を持ち価値があると信じ続けられるのであれば、価値は続いていくかもしれないということですね。
ビットコインは通貨として機能していない
ほとんどの暗号通貨は根本的な欠陥と矛盾を抱えている。
本来は通貨とはみんなが価値の取引に使用することが本来の目的であり、流通し取引されることが必要です。
しかし、ビットコインは取引量ではなく通貨そのもののインフレによって利益を得ている。
通貨が「使われるから価値がある」のではなく、「値上がりすると思われているから保有される」状態になっている。
なので、通貨としてよりもむしろ投機的な商品となってしまっているのだと。
更にシステム的な欠点として、取引手数料が高く処理速度がめっちゃ遅いので大量の取引に向いていない。
現在までの12年間、数々の賑わいにもかかわらず、ビットコイン建てで価格が固定され、法定通貨と並行して流通している商品やサービスはほとんど存在しません。
ここまでを見てきて新たな通貨に成り代わるとは到底思えないですねぇ。
投機的な商品としてはありなのでは。(長期的に見たら0になる可能性はありますが)
金融の歴史において、ビットコインほど脆弱な資産はほとんどありません。
少なくとも自分の資産をまるまる預けるようなことはしないほうが無難でしょうね。
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